■コンセプトメーキング 〜高台に建つトラディッショナルな姿 -ELM-K2〜
細やかに連なる丘陵地を縫うように田園都市線は走る。 その線路を見下ろす高台にELM−K2を建ててからもう何年経つだろう。デザイナーズマンションなんて言葉が現れるずっと前の話だ。若きオーナが我々と夢を語り時間を費やして挑んだ物件は、街や人の変わる様を見続けて今日もここに在る。 重厚なグレーの外壁はやっと風格を醸すようになってきた。無機質な外観と裏腹に多彩な表情を持つ住戸が、住む人を飽きさせない普遍の居住空間を立証している。 幸い家路の景観は当時とさほど変わることなく、静かで心地よく都会の喧騒を忘れさせてくれる。ELM−K2はあと数十年はここに在るのだろう。建物が時代を超えて存在感を放つとき、我々は本当の喜びを得るのだと思う。 |